おすすめの1冊【ジビエ料理編】

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狩猟のこと
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周りの人に、東京を離れること、農業と狩猟と関わりながら生活をしていきたいことを言いふらしていたわたし。
これは自分の意思表明と、揺るがないため後戻りしないための呪文のようなものでした。
意外にも応援してくれる声をたくさんいただき、先日すすめられたこの本を買いました。

『ジビエ教本 野生鳥獣の狩猟から精肉加工までの解説と調理技法』依田誠志(著)

仕事柄出版関係の方と関わる機会が多く、この本も編集者目線で凄い本だと言われ、
実際に読んでみても本当に素敵な内容だったので、皆さんにも紹介したいと思います。

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依田誠志

著者の依田誠志さんは、東京・六本木にあるジビエ料理店『LA CHASSE(ラ シャッス)』のオーナーシェフです。
シェフが自ら出猟し、得た獲物を捌き料理として提供しているそうです。
猟期が始まると、北海道から九州まで、その時期に応じて猟場を移動しながら獲物を仕留め、その時旬の食材を収穫。
それらを一つの料理として昇華させる様は、まさにテロワール。
シェフの思いと知識、技術がぎゅっと詰まった一冊だと感じました。

写真が美しい

まずは、パラパラとめくった時に写真の多さに驚きました。
そして、写真集かと思うほどの美しさ!

これは裏表紙のシギ。本編に載っている鳥獣も、とても生々しく・美しく
見ていてうっとりします。なんども見返してしまうくらい綺麗です。
狩猟試験の失敗談から、この本を先に知っていれば、、!と思いました。笑
料理の写真もどれも美味しそうで、この本からカッコイイとか大人な雰囲気という印象を持つのは
これらの写真や余白、文字の配置などの演出によるものだと思います。

精肉の行程がわかりやすい

この本はかなり詳しく精肉の行程が紹介されています。

鳥類の部分だと、首の折り方〜部位に分けるまで、詳しい写真やイラストと
分かりやすい文章でまとめられているので
初心者でもこの本通りにやれば、うまく精肉できるんじゃないかと思います。

部位ごとに分けて調理したい場合、部位の名称やそれがどこにあるかなど
初心者には分かりにくい部分が多いと思いますが、この本で説明されているので
読むだけでも勉強になるなと感じました。

レシピのバリエーションが豊富&簡単

この本では超獣ごとに、章で分けられ記載されています。

第1章:鴨
第2章:さまざまな野鳥(シギ類、キジバト、ヒヨドリなど)
第3章:歩く野鳥(エゾライチョウ、キジ、コジュケイなど)
第4章:蝦夷鹿
第5章:猪
第6章:その他の獣(ウサギ、タヌキ、クマなど)

それぞれの超獣ごとに、精肉の方法からそれぞれに合ったレシピが掲載されています。
フレンチのレシピ!と意気込んでいたのですが、調理方法はいたってシンプルなものばかりです。
素材の味をより美味しくする為の少しの調味料と調理法ばかりで、
初めて獲物をとったらやってみたいレシピがたくさんありました。
わたしが特に気になったレシピは
ミカンヒヨドリのソテー
です。正月を過ぎた頃のヒヨドリは出荷後のミカン畑に入って残ったミカンを食べるそうです。
その時期に仕留めたヒヨドリは肉質も内臓もミカンの香りになるそうで、是非とも一度味わってみたい、、、
静岡県にお住いの方は食べる機会がありそうですね。羨ましい。
また、フォン(ソースのベースとなるダシ)やブイヨン・コンソメの取り方も丁寧に説明されているので、この一冊で食材を美味しく無駄なくいただくことができます。

狩猟初心者にとって有益な情報が多数

狩猟初心者は、まずは仕留めるところを重要視してしまいますが、
仕留めたものをうまく利用する為の術も知っておく必要があると思います。
この本では、調理法だけでなく猟場で必要なもの・必要な作業を
地域や猟の目的別に紹介しているので、初心者にとっては参考になると思います。

そして、この本の中で
“命をいただいているからこそ、最大限に美味しくして提供するのが務めであり責任だ”
と、依田さんは述べています。
シェフだから、ハンターだからというだけではなく、普段から感じていなければならない
命をいただくありがたさ
を、この本から学ぶことができます。
これから狩猟を始める人、ジビエを美味しく料理したい人は
持っておいて損はない一冊です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. ラシャッス より:

    六本木ラシャッスの依田です。
    今営業は自宅待機でたまたま見つけました。
    この本は一猟期で仕留めた獲物で構成しその年に出版でした。
    あまりルセットを重くせず、料理人の方だけでは無く、
    色々な方に興味を示していただけるようにいました。
    ご紹介ありがとうございました。

    • 知という餌 知という餌 より:

      ご本人からコメントをいただけるとは夢にも思っていませんでした。
      ありがとうございます。
      東京に住んでいる頃、ラシャッスにも何度か食べに行きました。
      田舎に引っ越して、鴨を捌く際にもこの本を参考にしました。
      そのようなタイトなスケジュールでの出版だったのですね、驚きです。
      これからもお気に入りの一冊として大切に読ませていただきます。
      早く今の状況から抜け出せることを切に願っております。
      どうぞお体に気をつけてお過ごしください。

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